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ENECHANGE、燃料価格高騰による新電力の経営危機を支援 新電力向け独自燃料費調整コンサルティングサービスを開始
ENECHANGE(エネチェンジ)株式会社(本社:東京都千代田区 代表取締役CEO:城口洋平、代表取締役COO:有田一平)は、2021年9月以降続く原油や液化天然ガス(LNG)など燃料価格の上昇基調が、日本の電力産業に与える影響を重く受け止め、電力会社向けに「新電力燃料費調整」に関するコンサルティングサービス(以下、本コンサルティングサービス)を開始します。
背景
当社は、以下の3つの市場背景を受け、事業撤退や新規申込一時受付停止にせざるを得ない事態に陥っている新電力の経営を支援するため、本コンサルティングサービスを提供することとします。
1. ウクライナ情勢を背景に高騰する燃料価格
2021年9月以降燃料価格が高騰する中、昨年末から一時的な低下は見られたものの、3月に入り再び上昇しました。国際的な燃料価格の高騰により、日本卸電力取引所(以下、「JEPX」)での電力取引価格も高騰し、長期化する懸念があります。
2. 燃料費調整制度の不整合
新電力の多くは、独自の燃料費調整制度を設けず、大手電力の燃料費調整額をそのまま採用しており、新電力における実際の電源構成やJEPXでの取引価格を料金に反映できていません。大手電力が設定する現在の燃料費調整額は、国際的な燃料価格を迅速に料金に反映し、電力会社の経営安定化を図ることを目的に平成8年に導入された制度でありますが、新電力の電源構成にそぐわないものとなっています。
3. 電気料金の大幅な値上げまたは契約更新拒絶による「電力契約難民」が頻発
高圧(法人向け)では、既存契約者に対する契約更新の拒絶や、契約期間途中での基本料金や電力量料金の大幅な値上げを促す動きが活発化しており、最終保障供給約款(電力小売事業者の倒産等で契約変更を余儀なくされた消費者に対して送配電事業者が暫定的に提供する電力料金)への契約を余儀なくされる「電力契約難民」が頻発しています。本事項においては、2022年3月24日に電力・ガス取引監視等委員会により開催された第71回制度設計専門会合において最終保障供給約款が制度趣旨に反した形で依存されているとの指摘を受けている通りです。他方、低圧(家庭向け)でも小売事業撤退や新規申込受付一時停止する電力会社が増えていることにより、事業撤退で放出された契約者が、その他電力会社へ自由に切り替えられず、電気が止まる危険性もある状況が発生しています。
新電力向け独自燃料費調整コンサルティングサービスについて
本来の「燃料費調整制度」は、昨今のような国際的な資源価格の変化を迅速に料金に反映し、電力会社の経営安定化を図ることで、消費者への安定的な電力供給を実現する制度であるにもかかわらず、上記理由により、新電力において燃料費調整制度が十分に機能していません。従って、新電力各社は、大手電力の燃料費調整制度を一律に踏襲するのではなく、独自の電源構成にあわせた独自燃料費調整制度を設定する必要があります。
電力販売量上位100社の主要新電力において、現在、独自の燃料費調整を設定し自社のウェブサイト等で公開している電力会社は5社あり、当社調べでは、主要5項目(調整単価、検針日が毎月1日以外の場合の調達単価、還元基準値、追加請求基準値、転嫁比率)の定義が各社で異なっていることがわかりました。このような異なる「定義」の独自燃料費調整制度が乱立した場合、相互の比較が困難となり、消費者にとって契約後の電気料金が不透明になるという懸念もあります。
本コンサルティングサービスでは、当社の電力小売業界のおけるこれまでの知見を活用し、各電力会社に適した個別の独自燃料費調整の設定支援、広報支援を行います。新電力専用の独自燃料費調整として、共通定義を採用することで、契約者視点での比較検討における透明性を担保しながらも、各種基準値においては個別の電源構成やJEPX調達比率において差別化を図れるような設定を支援してまいります。なお、当社は公正取引委員会に事前相談の上、独占禁止法及び関連法令に抵触しない形で本サービスを実施してまいります。
<当社推奨の独自燃料費調整制度の定義>
・調達調整費の算定方法
電源調達調整費 | 燃料費調整(大手電力設定)+調整調達費 |
調達調整費(還元) | (還元基準値-調達単価)× 使用電力量(kWh)× [転嫁比率]% |
調達調整費(追加請求) | (調達単価-追加請求基準)× 使用電力量(kWh)× [転嫁比率]% |
調達単価 | 検針日が毎月1日以外の場合の調達単価 | 還元基準値 | 追加請求基準値 | 転嫁比率 |
エリアプライス平均値 | N月1日からN月末日までの期間において算定 | エリア別定める仕切値/円 | エリア別定める仕切値/円 | 各社独自設定値% |
ENECHANGE株式会社 代表取締役CEO 城口洋平のコメント
電力自由化以来、「燃料費調整制度の不整合」の問題はずっとありましたが、幸い国際的な資源価格が落ち着いていたこともあり、問題点として顕在化しませんでした。独自に燃料費調整制度を設定するよりも、大手電力と共通の燃料費調整制度を採用することで、消費者目線でのわかりやすさを重視してきたことが背景にあります。一方で、現在、新電力各社が独自に設定する動きが水面化で加速しており、すでに一般公開している5社をみても、各種定義が異なる乱立状態であり、消費者目線では比較が困難になり、透明性が欠如することで電力自由化を後退させるリスクがあると危惧しております。よって、当社としては、新電力各社の経営安定化のために独自燃料費調整制度の設定は支援する一方で、各社の定義を共通化することで、消費者目線での透明性を確保するような取り組みが必要だと判断し、関連省庁とも連携の上で準備を進めてまいりました。
ENECHANGE株式会社
ENECHANGE(エネチェンジ )は、「エネルギーの未来をつくる」をミッションに掲げ、脱炭素社会をデジタル技術で推進する脱炭素テック企業です。2015年創業、2020年に東証マザーズに上場(証券コード4169)と、「エネルギーの4D(自由化・デジタル化・脱炭素化・分散化)」分野でのSaaS事業を中心に急成長を実現しています。当社のルーツは、自由化先進国のイギリス・ケンブリッジでの電力データ研究所にあり、現在もイギリスに子会社SMAP ENERGY LIMITEDを有し、エネルギーデータの解析技術とグローバルなネットワークが特徴です。
名称 :ENECHANGE株式会社
所在地 :〒100-0004 東京都千代田区大手町2-6-2 日本ビル3階
URL :https://enechange.co.jp
報道関係のお問い合わせ先
ENECHANGE株式会社 広報
Mail:pr@enechange.co.jp