ENECHANGE プラットフォームサービス: SMAP (Smart Meter Analytics Platform) ③TOUサービス
- SMAPサービス紹介
エネルギービジネスを変革するクラウド・AI技術として提供しているサービス、それがSMAP(スマップ:Smart-Meter Analytics Platform)です。SMAPで提供できるサービスの詳細をシリーズで展開しています。
第3回目は、SMAPのTOUサービス機能についてご紹介します。
- 第1回目 収益性分析機能について
- 第2回目 見積り業務効率化サービス(シミュレーター機能)について
SMAPが提供するサービスとは
現在、30分値データを取得できるスマートメーターの導入が全国で進んでおり、2020年代前半までには全世帯に設置が完了する予定です。これにより、取得できるデータ量は従来の1,800倍になります。この膨大で有益な電力データを活用したサービスがSMAP(Smart-Meter Analytics Platform)です。SMAPでは、「収益性分析サービス」や「Simulatorサービス」など電力小売事業者のニーズに合わせた様々なサービスを提供しております。
SMAP TOUサービスとは
需要に応じた時間帯別電力料金(Time-on-use)の設定を行い、需要家向けに指定の時間帯の節電を促すことで、特定の時間帯の電力需要を抑制することを目的としています。例えば、電力需要が増加する夏季・冬季は、需給がひっ迫すると電力市場単価が高くなり、赤字の電力を販売する電力小売事業者の収益性は悪化します。例えば、A電力小売事業者の夏季のある月では、断続的に買電単価が売電単価を上回り、低圧では約20%、高圧では約50%のコマで赤字になっていることが分かっています。このケースの場合、電力需要のピークシフトを促すような料金設定を行い、その他インセンティブを需要家に対して提供し、収益性の悪い時間帯における電力売買を低減することで、全体の収益性を向上することが可能になります。
例:ある電力小売事業者のエリア別利益率推移(月次)
例:ある月の低圧・高圧の売電単価・買電単価の推移
ケンブリッジTOUモデル
SMAP TOUサービスでは、最適な単価・時間帯の設定に「ケンブリッジTOU」モデルを用いています。ケンブリッジTOUモデルとは、ケンブリッジ大学が開発したAI技術を活用し、需要家のTOU移行後のピークシフトを予測する技術です。SMAPが提供するTOU料金サービス開発では、このケンブリッジTOUモデルを用い、何万通りの単価やピーク時間帯の設定から最適な時間・料金単価・段階を算出しています。機械学習を利用した世界初のAIベースのTOU予測モデルであり、実証実験では誤差±3%を達成しています。
TOUサービス導入事例
株式会社Looop様 真夏の節電大作戦2018
株式会社Looop向けに提供している「真夏の節電大作戦2018」では、TOU料金の設定と節電警報による需要家に対する節電行動への喚起を2018年7月~9月末までの3か月間に渡って行いました。本サービスは、Looopでんきの契約者からTOUサービスへの参加希望者を募り、その対象者に対してTOU料金プランの適用と節電警報(メール)により節電行動を促すことでピークシフトを実現しています。また、対象者を3つのチームに振り分け、電力使用削減量をポイント換算して競わせることにより、ゲーム感覚で節電意欲を喚起することができ、継続的な電力使用量の削減を行うことができました。結果的に、平均で約5%のピーク時節電効果が見られ、電力小売事業者の利益率向上に貢献しています。
例:TOUサービス導入~節電喚起までの流れ