エネルギーイノベーション デジタル化で描ける未来
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エネルギーフォーラムが主催するセミナー「エネルギーデジタル革命の最前線と将来展望」にて弊社代表城口が講演する機会をいただき、7月30日(月)「欧州におけるエネルギーデータ活用事例」と題し話をして参りました。
前回のTOPICSで書かせていただきましたENECHANGEの「4つのD」の考え方をお伝えするとともに、今回のテーマでもある「デジタル化」に焦点をあて、その分野で実績を積んでいる欧州ベンチャー2社をご紹介したのち、ENECHANGEグループ、SMAP ENERGY社のイギリスでの実際の取り組みについて説明しました。
イギリスの大手総合エネルギー企業との取り組み
SMAP ENERGYが取り組むのは、スマートメーターデータを用いた事業運営の効率化です。
EDFエナジーの課題は大きく2つありました。
- 高圧需要家毎の収益性を把握すること
- 高圧需要家の新規獲得を効率化すること
イギリスの大手エネルギー企業であるEDFエナジーでも、実際は、顧客ごとの需要家の収益性が把握できておらず、エリア単位などでの「ざっくり収益」しか分析できていませんでした。また、英国では単価改定が毎年あるため、毎年の見積もり作業に膨大な工数がかかっている一方で、スマートメーターのデータ活用などがほぼされていないこともわかりました。
こうした課題を抱えている電力会社様の場合、次のSMAP ENERGYの2つの技術を導入することで事業の効率化を図ることが可能になります。
SMAP Profitability(収益性分析)
需要家ごとの収益性を可視化することで既存顧客ごとに最適な料金プランの提案を可能にするクラウド型システムです。
各需要家ごとの利益率を見ることで、電力会社が漠然と想定していた顧客の収益性と実際の収益性に大きな乖離があることも発見できるようになり、効率的なターゲット顧客の絞り込みや、競争力の高い料金プランを策定できるようになります。ある会社の事例では、高圧需要家の28%が赤字(下図)という実例もあります。こうした取り組みで、問題点を明確にすることで、より電力小売り事業の収益性改善に取り組むことができます。
SMAP Simulator (新規顧客獲得に向けた見積り作成サポート)
新規顧客獲得に必要な見積もり作成に対し、AIを用いた精緻なロードカーブを作成し、利益率を維持しつつ最適な料金プランを提案できるようにサポートするシステムです。
新規顧客獲得に際しては、過去12ヶ月分の月間電力使用量をベースに料金プラン講演レポートを作成しているのが通常です。SMAP Simulatorの導入により、類似する既存顧客データベースをAIが抽出することで、精緻な収益性予測に基づく見積もりを作成することができます。また、見積もり業務に関わる80%程度の作業を自動化できるため、大幅に工数削減をすることもできます。
3つの提供価値とは
- 見える化
- 顧客ごとの収益性を識別できるようにすること
- 理解
- なぜその顧客の収益性が悪いのかを分析・把握できるようにすること
- 行動
- その顧客に最適なシミュレーションを行い戦略のもとアプローチをできるようにすること
SMAP ENERGYのサービスは、「目隠し」状態にある電力会社の事業運営を、スマートメーターデータという「資産」を「武器」に変えることであり、この「武器」を手にした電力会社が、エネルギー市場での競争を勝ち抜けると考えています。